600年の伝統技法
「揖保乃糸」は例年、10月から4月(最盛期は12月から2月)にかけた、限られた時期に製造します。
生産は、まず小麦粉に食塩水を加え、よくこねて「めん生地」をつくることから始まります。 この「めん生地」を丁寧に引き延ばし、一本のそうめんに仕上げます。播州地方におよそ600年前から続く、伝統的な手延べ製法です。
「めん生地」は、短時間で強引に細く引き延ばそうとすると切れてしまいますので、縒(よ)りをかけながら無理なく、 延ばせるだけ引き延ばし、「ねかし(熟成)」た後、また再び延ばします。
「揖保乃糸」は、この「ねかし(熟成)」と「延ばし」の工程を数回繰り返し丹念に作り、製品になるまで11工程を要します。
「揖保乃糸」製造工程
2.板切工程
板切作業1
よくこねたそうめんの生地を熟成させ、幅およそ10cm厚さおよそ5cmの麺帯(めんたい)にし、切り出した麺帯を丸状に成型し、"採桶(さいとう) "と呼ばれる桶に巻き込んでいきます。
板切作業2
麺帯を数本合わせて、ロールに通し1本にします。その1本になったものを、さらに数本あわせて1本にと、繰り返していきます。
3.小より工程
油返し作業
麺帯をロールに通して、ねじるように縒(よ)りをかけながら、直径およそ20mmの麺紐(めんひも)にしていきます。
熟成1回目
"油返し作業"の後、麺紐をねかせて熟成させます。
細目作業
およそ2時間ねかせた麺紐に、縒りをかけながらロールで直径およそ1 2mmの細さにします。
熟成2回目
2回目の熟成に入ります。
小均(こなし)作業
およそ1時間ねかせた麺紐を、さらに縒りをかけながら、直径およそ6mmまで細長くしていきます。
熟成3回目
3回目の熟成に入ります。
4.掛巻工程
掛巻作業
およそ4時間ねかせた麺紐を、掛巻機(かけばき)という機械を使って麺紐に"縒り"を掛けながら、2本の管(くだ)に8の字を描くように掛けていきます。そして室箱(おも)と呼ばれる箱に納められます。
熟成4回目
そして、 4回目の熟成に入ります。
5.小引き工程
試し引き作業
およそ3時間後、室箱から取り出した麺紐を、熟成の進み具合や翌日の天候を考えながら、およそ50cm程に引き延ばします。
小引き作業
長年の経験をもとに"試し引き作業"を行なった後、道具を調整し効率的に延ばしていきます。
熟成5回目
"小引作業"を終えた麺紐は、再び室箱に収められ翌朝までおよそ15時間、ゆっくりと熟成させます。
7.門干し工程
- a
- b
- c
- d
- e
- f
a.つけまえ作業
小分けされた菅(麺紐)は、8本〜9本ずつ"はた"につけていきます。
b.あしづけ作業
"はた"につけられた麺をおよそ1.6mに延ばします。
c.はたうわぬきあげ作業
さらに1.6mから2mへと徐々に延ばします。
d.手さばき作業
"はた"につけられた麺にハシを入れ、均等にさばいていきます。
e.はた守り作業
手さばき作業を終えた"はた"は、乾燥室の温度・湿度や天井扇からの風の流れを見て向きを変えながら、乾燥させていきます。
f.乾燥作業
仕上げ乾燥ともいわれ、 "はた"全体を均一に乾燥させながら、ぶらさがり麺などの異常がないかチェックします。
11.倉庫熟成工程
格付検査を終えた「揖保乃糸」は、専用保管倉庫に入庫されます。